2025.01.15
遺品整理、自分でやるのは、 想像以上に大変な作業なのです。
2024.05.16
わが家の相続の顛末。 すべて、実話です。
借地権を相続したのはいいけれど、それって売ることができるのか、という疑問からスタートしたわが家の相続。
前回は、ラッキーが重なって、買主があらわれ、売買にこぎつけたところまでをお伝えしました。
今回は、その後のことのなりゆきをご紹介します。姉弟による分配。これがなかなか、一筋縄にはいかないもので、というお話です。
第一回:母の遺した借地権。どうすればいい?
第二回:兄弟間の分配。思わぬことに。
第三回:まさか!税金取られるの?
けっして大きな金額ではありませんが、猫の額ほどの土地、それも借地権という少々面倒な権利をなんとか売って、お金を得ることができました。
私には姉と弟がいて、つまり3人姉弟。そのお金をどのように分配すればいいのか。次に直面しなければならない問題でした。
借地権の売買をすすめていくなかで、漠然とですが、単純に3等分すればいいじゃないか。そう考えていました。売買の際には、姉弟が顔をそろえて契約に立ち会ったのですが、きっと姉も弟も、私と同じように考えていたのだろうと思います。言葉にはしませんでしたが。ところが、です。
売買の契約を終え、私たち姉弟は弁護士さんの事務所に向かいました。その後の進め方について、弁護士さんから話を聞くためです。
そこで、弁護士さんから、母の遺産なので相続は基本は姉弟3等分だが、特別な事情があればそれも考慮するというようなことを聞かされたのです。それはどういう意味かと尋ねると、生前の母の面倒を見た割合やら、母のために費やした費用などを考慮に入れるという主旨でした。
そう言われてみると、私はほかの姉弟に比べ、実家に足繁く通い、身のまわりの世話や外出のサポートなどをしていた記憶がよみがえりました。自負もありました。
旅行した際の費用、病院への付き添いのタクシー料金、デパートでの買い物などなど、領収書を探したり、記録をつけたりと、母との思い出をたどりながら、いかに自分が母と深くかかわっていたのかを記し、かかった時間とお金についても記録していったのです。人間、こういう時は浅ましくなってしまうものなのでしょう。
弁護士さんに指定された期限までに、姉弟それぞれが主張したい内容を提出。その間、姉弟で特に連絡を取ることはなく、各々が独自の判断で母との関係性や具体的な事実、そして費用を記した資料を提出したのです。
そして後日、弁護士さんから連絡があり、調整が必要とのことで、再び、姉弟そろって弁護士事務所へ赴くことになったのです。
そこで、姉や弟がどのような資料を提出していたのかを目にしました。これが、なかなかのものでした。たとえば、姉弟それぞれに子どもがいるのですが、その子どもたちの入学祝いの金額の違いまで指摘している部分もあった。
生前、そんなことまで母から聞き出していたのかと驚きましたが、同時に、口には出していなかったけれど複雑な心境だったのだなと、人間について、家族について、学びなおしたような気分になったものでした。相続は、ある意味、人間をむき出しにする機会なのかもしれません。そういう私も、自分に少しでも有利になることを主張していたのですから。
私たち姉弟は、けっして仲が悪い姉弟ではありません。それぞれに家庭があり、仕事があり、頻繁に連絡を取り合うわけではないけれど、何か事があれば、意思の疎通をはかるような関係性でした。
そんな姉弟でも、私を含め、相続ではほかの姉弟より一円でも多く得たいと企てる。骨肉の争いというようなドロドロの時間ではありませんでしたが、一歩間違えれば、どんな家族にも問題が起きないとは限りません。
実際、私のケースでも、姉弟それぞれの配偶者までもが意見を述べることさえ、ありました。
相続は、ことほどさように、欲をあらわにするのです。関係が良好でも、思いもよらぬことがある。その時のために、親の存命中から親との思い出や出来事を具体的にメモに残すなど、準備しておくことをおすすめします。親の世話に費やした時間を時給に換算することもあるのです。
さて、弁護士さんに姉弟それぞれの主張を届け、あとは弁護士さんの裁定に委ねました。
そこに関しては姉弟間の意見は一致していたので、事態がねじ曲がらずに済んだのだと思います。
結果は、まぁ、ほぼ3等分。結局、そこに落ち着きました。良しとするか、というゴールでした。
もうひとつ、経験上からのアドバイスとしては、やはり第三者が間に入ることで、話はスムーズに運びます。弁護士にその役目を担ってもらうことがベターでしょう。もちろん、特定の相続人の利益を代表せず、公平な立場を保つ存在としての弁護士さんである必要があります。
さて、なんとか姉弟それぞれの口座に、代金が無事振り込まれました。しかし、その後、私たち姉弟に、意外な落とし穴が待ち受けていたのです。そのお話は次回で。